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皆さんこんにちは!
ラウンジ Oasis、更新担当の中西です。
第10回ラウンジ雑学講座
~体質?!~
ということで、お酒の強さにまつわる体質の正体について、科学・医学・文化の3つの視点から深く掘り下げて解説します。
遺伝・酵素・文化で読み解く「飲める人・飲めない人」の真実
「私はお酒に弱くて…」
「この人、いくら飲んでも全然酔わないね」
飲み会や宴会の場では、こうしたやり取りがよく見られます。
実は、お酒への強さ・弱さは“体質”によって大きく左右されることが、医学的にも明らかになっています。そしてその体質は、生まれ持った遺伝子レベルの違いでほぼ決まってしまうのです。
アルコールが体内に入ると、肝臓で次のように分解されます
エタノール(アルコール) →
アセトアルデヒド(強い毒性・二日酔いの元) →
酢酸(無害) → 水と二酸化炭素へ
この「アセトアルデヒド」を無毒化する役割を果たすのが、ALDH2酵素です。
しかし、このALDH2には次のような遺伝的な“強さのバリエーション”があります
ALDH2の型 | 性質 | 特徴 |
---|---|---|
活性型(AA) | 十分に働く | お酒に強い |
低活性型(AG) | 一部しか働かない | 顔が赤くなる、中程度の酒弱 |
不活性型(GG) | ほぼ働かない | 少量でも気分が悪くなる、酒に極端に弱い |
日本人の約40〜45%は「低活性型(AG)」、約7〜10%は「不活性型(GG)」にあたります。
つまり、日本人の半分以上は“体質的にお酒に弱い”可能性があるのです。
ALDH2の活性型・不活性型の比率は、人種や民族によって異なります。
民族・地域 | 活性型の割合(お酒に強い人) |
---|---|
ヨーロッパ系(白人) | 約95〜100% |
アフリカ系 | 約90〜95% |
東南アジア系 | 約60〜80% |
東アジア系(日本・中国南部・韓国など) | 約50〜70% |
日本人(特に本州・四国) | 約45%のみ活性型 |
つまり、日本人にとって「酒に弱い」は恥でも異常でもなく、むしろ一般的な体質と言えるのです。
📌 補足:琉球(沖縄)や北海道の一部では活性型が多い傾向もあります。これは遺伝的な混血や地域性によると考えられています。
アセトアルデヒドが分解されず、顔面紅潮・吐き気・動悸・低血圧などが起こる
酔っていなくても、アルコール代謝障害により急性アルコール中毒のリスクが高まる
毎日少量でも、「お酒に弱い人」が無理に飲み続けると食道がん・口腔がんのリスクが約6〜10倍になるという研究もあります(国立がん研究センター)
最近では、唾液や口腔内の細胞を使った遺伝子検査キットも市販されています(例:ALDH2簡易検査)
→ 自分のタイプ(AA / AG / GG)を知ることで、無理な飲酒を防ぐことができます。
お酒に弱い人でも、工夫次第でお酒の席を楽しむことは十分に可能です。
ビール(3〜4%)
チューハイ(アルコール3%以下)
ノンアルコールビール、モクテル(ノンアルコールカクテル)
空腹で飲まない
チェイサー(お水)をしっかり飲む
体調が悪い日は無理せず断る
お酒の強さは“能力”ではなく“体質”
飲めない人を無理に誘うのは、時代遅れ
ソフトドリンク派の参加者が気まずくならない場づくりが、今のマナーです
あなたが「お酒に強い」か「弱い」かは、生まれ持った体質=ALDH2の働きによってほぼ決まります。
無理をして飲んでも、お酒に強くなるわけではありませんし、むしろ健康リスクが高まるだけです。
お酒に強い人 | お酒に弱い人 |
---|---|
飲める体質 | 飲めない体質 |
遺伝的にALDH2活性型 | 遺伝的に不活性型が多い |
飲酒を楽しめる | 飲酒にリスクがある |
健康を害することも | 無理せず付き合うのが大切 |
お酒は「飲める・飲めない」で優劣を決めるものではなく、人それぞれの体質に合わせて無理なく楽しむもの。
自分の体質を知り、周囲にもそれを尊重してもらえる社会を、私たち自身が作っていきましょう。